コラム
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2026年1月12日
デマンドレスポンス(DR)とは、電力需要が高まる時間帯に電力使用量を調整し、電力供給の安定化に貢献する仕組みです。電力不足が課題となる中で、企業が条件を満たせば、節電協力に応じて報酬を受け取れる取り組みとして注目されています。本記事では、デマンドレスポンスの種類や仕組み、参加によって得られるメリットと注意点をわかりやすく紹介します。
目次
デマンドレスポンスとは、発電量と消費量のバランスを保つために、需要側が電力使用を調整する取り組みのことです。
電気は大規模な蓄電が難しいため、生産量と需要量が常に一致している状態が理想的な形です。しかし、需要が急増すると供給が追い付かず、反対に需要が減ると発電量が余ってしまいます。
この課題に対応する仕組みとして、国や電力会社の要請に応じて使用量を減らしたり、使用時間帯を変えたりする方法がデマンドレスポンスです。
調整への協力に対して報酬や割引が得られることも特徴で、企業にとっては節電と経済的メリットを同時に得られる制度として注目されています。
デマンドレスポンスには、大きく分けて「上げDR」と「下げDR」の2種類があります。それぞれについて詳しく見ていきましょう。
上げDRとは、電力が余りやすい時間帯に電力使用量を意図的に増やし、需給バランスを整える手法です。太陽光発電が多く稼働する昼間などは電気が余剰になりやすく、需給が不安定になる場合があります。
このような時間帯に設備稼働を前倒しにしたり、蓄熱設備を稼働させたりすることで、余剰電力を活用することが有効です。電力が余ると市場価格が下落し、発電事業者の収益にも影響が出るため、上げDRは市場の安定化にも役立ちます。
また、再生可能エネルギーの活用機会を増やせることも特徴で、脱炭素経営を進める企業にとっては環境面のメリットも大きい取り組みです。
下げDRとは、電力需要が急増する時間帯に電力使用量を抑え、電力不足を防ぐための取り組みです。夏場の午後や冬の朝夕は冷暖房の使用が増え、需給逼迫が起こりやすくなります。
このような時間帯に企業が設備の稼働を一時停止したり、運転負荷を下げたりすることで、全体の電力需要を大幅に減らせます。下げDRは電力の安定供給を支える施策として重要であり、計画停電や市場価格高騰のリスク軽減にも寄与する可能性があります。
また、協力した企業には削減量に応じて報酬が支払われる仕組みが一般的です。
デマンドレスポンスの仕組みについて詳しく紹介します。
電気料金型デマンドレスポンスとは、電力需要が高まる時間帯に料金を引き上げ、消費者に電気の使用量を抑制してもらう仕組みです。
ピーク時の料金を高く設定すると、企業はコスト増を避けるために設備稼働の時間帯を調整し、消費を自然に抑制するようになります。これにより、電力需要の集中を防ぎ、需給逼迫のリスクを軽減します。
インセンティブ型デマンドレスポンスとは、需要がひっ迫する時間帯に電力使用量を調整した企業へ、報酬を支払う仕組みです。
電力会社やアグリゲーターからの要請に応じて設備の稼働を下げたり、使用時間帯を変更したりすると、その削減量に応じて金銭的なインセンティブが付与されます。報酬が明確に設定されているため、企業は節電計画を立てやすく、目標に向けて効率的に取り組めます。
デマンドレスポンスのメリットについて紹介します。
デマンドレスポンスの大きなメリットは、電力コストを抑えつつ報酬も受け取れることです。需要が高まる時間帯は市場価格が上昇し、企業の電気料金負担が大きくなります。この時間の使用量を抑えると、料金の上昇分を避けられるため、結果として電力コストの削減につながります。
インセンティブ型デマンドレスポンスでは、削減した電力量に応じて報酬が支払われる仕組みが一般的です。計画的に設備稼働を調整するだけで収益を得られる可能性があるため、企業にとって取り組みやすい制度だと言えます。
電力の安定供給に協力する企業は、社会的責任を果たしていると評価されやすく、取引先や投資家からの信頼を高められることがメリットの一つです。特に脱炭素経営が求められる中で、再生可能エネルギーの活用促進に貢献できることも企業のイメージ向上に役立ちます。
また、エネルギーマネジメント体制の整備が進むことで、災害時や電力需給が逼迫した際にも安定した事業運営が期待できます。こうした取り組みはESG投資の観点からも注目され、企業ブランドの強化にもつながるでしょう。
電力が余る時間帯に上げDRを活用して再生可能エネルギーを消費することで、発電した再エネを無駄にせず活用できます。この仕組みによって再生可能エネルギーの変動を吸収しやすくなり、電力システム全体の安定化に寄与します。
デマンドレスポンスのデメリットを紹介します。
デマンドレスポンスの実施には、電力使用量を一時的に調整する必要があるため、生産計画や業務スケジュールに影響が出る可能性があります。需要が高まる時間帯に設備の抑制を求められた場合、製造ラインの停止や工程の変更が必要になることも少なくありません。
また、オフィスや商業施設においても、空調や照明の制御によって快適性が低下する場合があります。こうした事態を避けるためには、どの設備をどの時間帯に調整するかを明確にし、事前に社内で合意形成を進めることが重要です。
デマンドレスポンスに参加するには、一定の条件を満たしている必要があります。とくにインセンティブ型デマンドレスポンスの場合は、電力会社やアグリゲーターと正式に契約を結び、要請が届いた際に確実に応じられる体制が求められます。
削減指令は特定の時間帯に発令されるため、その時間帯に設備の稼働を調整できることが重要です。例えば、一定時間停止できる設備を保有している、もしくは運転を前倒しや後ろ倒しできる柔軟な工程を持っていると参加しやすくなります。
また、削減量を正確に計測するためのスマートメーターやエネルギー管理システムの導入も欠かせません。逆に、常時稼働を維持しなければならない設備しかない事業所では、調整が難しく参加条件を満たせない場合があります。
デマンドレスポンスへの参加方法と一連の流れを紹介します。
デマンドレスポンスに参加する際は、まず自社の電力使用量を正確に把握することが重要です。どの設備がどの時間帯にどれだけ電力を使っているかを把握できれば、削減できる負荷を明確にできます。
とくに需要が高まる時間帯の使用量を把握しておくと、削減要請が発令された際にも落ち着いて対応できます。こうした対応をスムーズに進めるには、電力使用量の見える化が欠かせません。
電力使用量の見える化には、専用ツールの活用が有効です。
エネグラフは工場や設備に簡単に設置できるエッジデバイスとクラウドシステムによって、電力消費をリアルタイムで可視化することが可能です。エネルギー使用の推移や異常値を確認しやすくなるため、どこに削減余地があるかを迅速に把握できます。
デマンドレスポンスへ参加するには、電力会社やアグリゲーターが提供するプログラムへの申し込みが必要です。契約後は、需要調整の要請に応じて電力使用量の制御やシフト対応が求められ、実績に応じて報酬が支払われる仕組みです。
削減実績は計測データをもとに確認され、基準となる需要量との差分によって報酬が決まります。プログラムによっては対象時間帯や削減量の条件が定められているため、自社の事業特性に合うかを確認することも大切です。
デマンドレスポンスに参加するには、どの設備をどの時間帯に調整するかを示した削減計画を準備する必要があります。削減要請は急に届くこともあるため、事前に社内フローを整えておくことが大切です。
調整しやすい設備と難しい設備を整理し、削減量のおおよその目安を決めます。そのうえで、稼働停止や負荷低減の手順、復旧までの流れを共有しておくことが重要です。
デマンドレスポンスの要請が発令された場合、企業は事前に立てた削減計画に沿って設備を制御し、電力使用量を抑える対応を行います。制御方法は設備の停止や運転負荷の調整、稼働時間のシフトなど企業によって異なりますが、いずれも短時間で実施できる体制が重要です。
対応後は、削減できた電力量を計測し、電力会社やアグリゲーターへ実績データを提出します。この実績が報酬額の算定基準となるため、正確な計測と記録が大切です。また、削減の状況を振り返ることで、次回の要請に向けた改善点や追加の削減余地を見つけやすくなります。
デマンドレスポンスは、電力需要の変動に合わせて使用量を調整し、安定供給とコスト最適化の両立を図る重要な取り組みです。適切な削減計画と社内フローを整えておけば、業務への負担を抑えつつ報酬獲得も期待できます。
そのためには、電力使用量の見える化が欠かせません。エネグラフを活用すれば、リアルタイムの電力状況を把握し、削減ポイントを明確にできます。効率的にDRへ取り組みたい企業は、見える化の導入から始めることをおすすめします。

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