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2025年11月4日

企業の省エネルギーへの取り組みと事例|背景やメリットを紹介

企業の省エネルギーへの取り組みと事例|背景やメリットを紹介

世界的に省エネルギーへの関心が高まるなか、企業が実践できる取り組みはLED照明の導入や空調管理システムの活用、再生可能エネルギーの利用などさまざまです。省エネに取り組むことで、光熱費の削減だけでなく、企業ブランドの向上や投資家からの信頼獲得といったメリットも得られます。

どの方法を選ぶかは企業の規模や業種によって異なりますが、まずは自社に合った省エネ施策を見極め、継続的に実践することが重要です。本記事では、省エネルギーへの取り組みや事例、メリットを紹介します。

省エネルギーへの取り組みが求められる背景

エネルギー価格の高騰や政府による法規制の強化などを理由に、省エネ対策の重要性が高まっています。なぜ企業は省エネへの取り組みが求められるのか紹介します。

脱炭素社会に向けた世界的な流れ

すべての始まりは、2015年に採択された「パリ協定」です。世界はこの協定で定められた気温上昇を1.5℃に抑える目標に向けて動いています。具体的には、世界全体の温室効果ガス排出量を2030年までに43%、2035年までに60%削減する必要があります。

こうした流れを受け、各国は「ネットゼロ目標」を掲げるようになりました。ネットゼロとは、排出した温室効果ガスの量を、森林吸収や再エネ活用などで実質的にゼロにする取り組みのことです。2025年時点で、198か国中137か国の政府がこの目標を表明しています。

参考元:脱炭素ポータル|環境省Net Zero Stocktake 2025 | Net Zero Tracker

エネルギー価格の高騰

エネルギー価格が急騰したきっかけは、ウクライナ情勢です。これにより、原油や天然ガス、石炭の国際価格が一時的に爆発的に上昇しました。近年は高騰のピークこそ過ぎつつありますが、価格は依然として高水準で推移しています。

背景には、アメリカによる中国製品への追加関税や中東情勢の不安定化、世界的な再エネ投資拡大に伴う供給制約などが考えられるでしょう。

今後もエネルギー価格が大幅に下がる見込みは乏しく、企業にとっては電気代や燃料費の負担が続く可能性があります。そのため、省エネルギー対策を進めてエネルギー使用量を抑え、コスト削減への取り組みがこれまで以上に重要です。

法規制や政策による省エネ推進

エネルギー価格の高騰や地球温暖化の進行を受けて、日本政府は企業の省エネルギー対策を強化しています。中心となるのが「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」です。省エネ法では、一定規模以上の事業者に対し、エネルギー使用量の把握や削減計画の提出を義務づけています。

2023年4月の改正では、「脱炭素」を目的とした取り組みが重視され、2025年4月の改正ではすべての新築建物に省エネ基準への適合が義務化されました。

関連記事:【2025年最新】省エネ法の改正で変わったポイントや対策法を解説

企業が省エネに取り組む目的・メリット

企業が省エネに取り組む目的・メリットを紹介します。

光熱費削減によるコストダウンを図れる

省エネルギーの最大のメリットは、光熱費の削減によるコストダウンです。省エネとは、エネルギーを効率よく使用し、無駄な消費を防ぐ取り組みを指します。例えば、LED照明への切り替えや高効率な空調設備の導入、再生可能エネルギーの活用などが代表的です。

電気・ガス・燃料といったエネルギーコストは、企業の固定費の中でも大きな割合を占めています。そのため、電力使用量を少し抑えるだけでも年間の経費削減につながります。

企業ブランドや信頼性が向上する

省エネルギーへの取り組みは、企業の社会的責任(CSR)を果たす行動として評価され、ブランド価値や信頼性の向上につながります。環境問題への意識が高まる中で、社会や消費者は「環境に配慮した企業」を選ぶ傾向が強まっています。

温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの導入など、具体的な目標を掲げて情報を開示する企業は、社会的信用を得やすいです。実際に、環境対応を積極的に行う企業ほど、採用活動や営業面でも好印象を持たれやすくなります。

投資家・市場からの評価が向上する

近年、投資家の間では「ESG投資(環境・社会・ガバナンス)」が重視されるようになっています。例えば、温室効果ガス排出量の削減や再エネ導入など、環境負荷を軽減する取り組みを行う企業は、サステナビリティ経営として高く評価されます。これにより、株主や機関投資家からの信頼を得やすくなり、資金調達や企業価値の向上にもつながるのです。

従業員の働きやすさと生産性が高まる

空調や照明を最適化して快適な職場環境を維持すれば、従業員の働きやすさや生産性の向上につながります。明るさや温度が適切に保たれることで、作業効率が高まり、ミスや事故などのトラブルを抑制できる点も大きなメリットです。

また、エネルギー管理を通じて従業員一人ひとりが環境への意識を高めることで、社内全体のモチベーションや一体感が生まれます。自分たちの行動が会社のコスト削減や社会貢献につながっていると実感できれば、働きがいの向上にもつながるでしょう。

企業の省エネルギーの主な取り組み

企業におすすめの省エネルギーの取り組みについて紹介します。

LED照明を導入する

LED照明の導入は、もっとも手軽で効果の高い省エネルギー対策のひとつです。資源エネルギー庁によると、白熱電球(60W)を電球型LEDランプに交換するだけで、約85%の省エネ効果が得られるとされています。

LEDは寿命が長く、交換頻度が少ないため、メンテナンスコストの削減にもつながります。最近では、人感センサー付きや調光機能を備えたタイプも増えており、使用状況に応じて自動的に明るさを調整することで、より高い省エネ効果を得られるでしょう。

参考元:令和7年度「夏季の省エネルギーの取組について」|資源エネルギー庁

空調管理システムを導入する

空調管理システムを導入すれば、温度・湿度・稼働時間などを自動で調整でき、無駄な電力を抑えられます。例えば、時間帯や室内の人数に応じて温度を自動調整したり、使用していないエリアの空調を停止したりすることが可能です。また、IoT技術を活用した最新のシステムでは、エネルギー消費データをリアルタイムで分析し、改善ポイントを把握できます。

再生可能エネルギーを導入する

再生可能エネルギーを導入するメリットは、コスト削減だけでなく、環境に配慮した取り組みをアピールできることです。環境負荷の少ないエネルギー活用は、ESG経営やサステナビリティ報告の観点からも注目されており、長期的な企業価値の向上につながります。

自社の建物や工場、駐車場などに太陽光発電設備を設置するのが一般的です。これにより、電力会社からの購入量を削減できるだけでなく、余剰電力を売電することで収益を得られる場合もあります。

初期費用は安くないため、国や自治体が実施している補助金制度や税制優遇措置を上手に活用し、初期投資の負担を軽減することが重要です。

関連記事:【2025年最新】中小企業に役立つ省エネ補助金をエリア・設備別に紹介

エネルギー使用量を「見える化」する

エネルギー使用量の「見える化」は、省エネルギーを効果的に進めるうえで欠かせない取り組みです。どの時間帯・部署・設備でどれだけエネルギーを使っているのかを数値で把握することで、無駄を発見し、具体的な改善策を立てられます。

データを蓄積・分析することで、ピーク時の電力削減や設備稼働の最適化など、より効果的な省エネ運用が可能になります。

エネルギー使用量を「見える化」するには、エネグラフがおすすめです。エネグラフは、エッジデバイスを取り付けるだけで、クラウドでエネルギー使用量の見える化が可能です。費用削減や環境への配慮、品質の向上など様々なメリットがあります。

テレワークなど働き方を見直す

従業員が在宅で業務を行えば、オフィスの照明・空調・OA機器の稼働時間が減り、電力使用量を大幅に抑えられます。また、テレワークの推進はエネルギー面だけでなく、通勤によるCO₂排出の削減や、従業員のワークライフバランス改善にも貢献します。出社が減ることで交通機関や自動車の使用も減り、環境負荷の低減が期待できるでしょう。

節電意識を高める社内教育を行う

省エネ効果を高めるには、従業員一人ひとりの意識改革が欠かせません。社内教育や研修を通じて、省エネの重要性を伝えることも大切ですが、部署ごとにエネルギー使用量を「見える化」して共有するだけでも効果が期待できます。一人ひとりの取り組みは小さくても、身近な行動を徹底するだけで消費電力を大幅に減らせます。

企業が取り組む省エネルギー事例

実際に企業が取り組んでいる省エネルギーの事例を紹介します。

六甲バター株式会社:太陽光発電の導入など

取り組みの背景   ・製品の品質維持のため、常に空調設備の稼働が必要だった
・社会的責任(CSR)や環境負荷低減への意識の高まり
取り組み内容・工場屋根に太陽光発電設備(984kW)を設置
・ガスコージェネレーションシステム(987kW)の導入など
効果・結果・年間約3,336トンのCO₂排出量を削減
・年間792kLの省エネ効果を達成

参考元:カーボンニュートラル実現に向けた関西企業等の取組事例

六甲バターは、省エネ対策を「エネルギー効率の向上」と「事業継続性(BCP)」の両面から実現しています。再エネとコージェネを組み合わせることで、環境負荷の低減だけでなく、災害時にも強いエネルギー供給体制を構築している点が特徴です。

サンエー電機株式会社:「見える化」からの電力削減など

取り組みの背景    ・取引先メーカーがサプライチェーン全体で省エネ・脱炭素を求め始めたため
・電力コスト抑制やCO₂排出削減が、社内課題・社会的要求になっていた
取り組み内容・手作りIoTを設置し、空調・製造設備の稼働状況を見える化
・社内報「省エネニュース」の発行
・夜間・休日のコンプレッサ稼働停止、サーキュレータ導入など
効果・結果・年間 21.3 kL (原油換算)の削減
・2022年省エネ大賞受賞

参考元:カーボンニュートラル実現に向けた関西企業等の取組事例

サンエー電機の特徴は、「手作りIoT」による小規模な見える化構築と、設備運用の細かい制御を組み合わせて電力削減を実現した点です。

日本ワヰコ株式会社:省エネ診断など

取り組みの背景  ・従来から省エネ対策を進めていたものの、さらなる効率化を求めた
取り組み内容・省エネセンターによる省エネ診断を実施
・水銀灯をLED照明に更新
・エア漏れ箇所の点検を定期化など
効果・結果・電力使用量を約20%削減
・従業員の省エネ意識が向上

参考元:カーボンニュートラル実現に向けた関西企業等の取組事例

日本ワヰコの事例で特に優れているのは、外部診断+可視化ツール活用によって見えていなかった無駄を洗い出した点です。コンプレッサーなど消費電力の高い設備に対し、稼働停止や制御技術(パルス化など)を適用したことが大きな削減効果に直結しています。

まとめ

企業の省エネルギー対策は、環境への配慮だけでなく、経営の安定や企業価値の向上にもつながります。LED照明や空調管理システムの導入、エネルギー使用量の見える化など、取り組みやすい施策から始めることが大切です。

エネルギー使用量の見える化を検討されている方は、エネグラフがおすすめです。エネグラフは、費用の削減や品質の向上、環境への配慮など様々な効果が得られます。安価なエッジデバイスを取り付けるだけで、クラウド画面でギャップ分析を行うことができます。

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