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2025年8月28日

【2025年最新】省エネ法の改正で変わったポイントや対策法を解説

【2025年最新】省エネ法の改正で変わったポイントや対策法を解説

 2023年4月に施行された省エネ法改正に続き、2025年4月にはさらなる規制強化が実施されました。省エネ法の対象事業者は、改正されたポイントや対策などの再確認が必要です。

 本記事では、省エネ法の改正で変わったポイントや対策法について解説します。省エネ法に対応することで得られるメリットや、違反した場合のリスクなどを詳しく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

省エネ法とは?目的や概要を解説

 省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)は、日本国内でのエネルギー消費の効率化を進めるために制定された法律です。1979年の制定以降、地球温暖化の進行やエネルギー価格の変動といった社会課題に対応する形で、たびたび改正されています。

省エネ法の基本的な概要

 省エネ法は、主に工場・事業場および運輸分野を対象にしています。企業が日常的に使用する電気やガス、燃料などのエネルギー使用量を抑えるだけでなく、エネルギー効率のよい製品や設備の使用を促す役割も担っています。

 例えば、空調や照明の高効率化、断熱性能の向上、さらにはエネルギーマネジメントシステム(BEMSやFEMSなど)の導入もその一環です。

 法律上では、年間の原油換算エネルギー使用量が一定以上の事業者は「特定事業者」に分類され、エネルギー管理体制の整備や定期的な報告書の提出、省エネ目標の設定が求められます。また、一般事業者にも努力義務として、省エネの推進が期待されています。

省エネ法の対象事業者がすべきこと

 省エネ法で「特定事業者」に分類される企業は、まずエネルギーの使用実態を正確に把握することが必要です。原油換算で年間1,500kl以上のエネルギーを使用している企業は「指定工場等」としての義務が生じます。具体的には、エネルギー管理統括者や管理員の選任、省エネ方針の策定、PDCAサイクルに基づいた取り組みが求められます。

 そのほか、毎年「定期報告書」や中長期の「中長期計画書」の提出も必要です。これらの報告書には、使用エネルギーの内訳だけでなく、削減目標やその進捗状況、改善施策などを記載しなければなりません。報告書は国に提出され、評価・指導を受けることになります。

2025年4月に施行されたのは建築物省エネ法の改正

 2025年4月には、「建築物のエネルギー消費性能の向上等に関する法律(建築物省エネ法)」が改正・施行されました。これは、省エネ法とは別の法律ですが、省エネに関する法律です。

 簡単に今回の改正点を紹介すると、すべての新築住宅や中小規模の非住宅建築物に対しても、省エネ基準への適合義務が課されたことです。これまでの制度では、床面積300m2以上の建築物にのみ適用されていましたが、今後は一般住宅などにも広く適用されることになりました。

省エネ法に違反した場合のリスク

省エネ法は努力目標だけでなく、義務違反に対する罰則も設けられています。特に特定事業者に対しては、定期報告書の提出やエネルギー管理体制の整備などの義務があります。違反した場合には「指導」「勧告」「命令」という行政処分が科され、最終的には罰金や過料が科されるため注意が必要です。

 例えば、定期報告を怠った場合には、50万円以下の過料が科される可能性があります。また、命令違反を続けた場合は企業名の公表措置が取られることもあります。これにより企業イメージが大きく損なわれるだけでなく、取引停止や信用低下につながるリスクもあるため注意しましょう。

2023年4月に改正された省エネ法で変わった3つのポイント

 2023年4月に施行された省エネ法の改正では、脱炭素社会に向けた流れを加速させるための重要な3つの変更が加えられました。それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。

参考元:資源エネルギー庁

1.エネルギーの定義が拡大された

 2023年の改正でもっとも本質的な変化は、エネルギーの定義そのものが見直されたことです。従来、省エネ法におけるエネルギーとは、主に「化石燃料由来のエネルギー(電気・ガス・燃料など)」を対象としていました。しかし、今回の改正により、非化石エネルギー(再生可能エネルギーや水素など)も含む広い定義へと拡張されたのです。

 これにより、太陽光発電や地熱、風力、バイオマス、水素などを活用したエネルギーの使用状況も、法的に報告対象となります。再エネを導入していればOKという認識では不十分です。導入状況・利用比率・削減効果までもがエネルギー管理の枠組みに組み込まれることになります。

 企業にとっては、これまでとは異なる視点でエネルギーを捉え直すことが必要です。例えば、自社で太陽光発電を行っている場合も、その使用電力量や系統電力との比率などを管理対象とし、報告書に記載することが求められます。

2.非化石エネルギーへの転換

 2つ目のポイントは、「非化石エネルギー」への転換を推進する内容です。非化石エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスといった化石燃料に依存しない、再生可能なエネルギーのことを指します。政府はこの非化石エネルギーの導入拡大を強く後押ししており、今回の改正ではその方向性が法律に明記されました。

 具体的には、省エネ報告書の中で非化石エネルギー比率の記載が義務化された点が大きな変化です。これまでの報告では、電気や燃料の消費量の合計が主な対象でしたが、今後はそれぞれのエネルギー源がどのような形で調達されているか、つまり再エネなのか化石燃料なのかまで報告が必要です。

 これにより、企業が購入する電力の電源構成にも注目が集まるようになりました。例えば、電力会社との契約時に再エネ由来の電気を選ぶことで、非化石エネルギー比率を高めることが可能です。また、自社で太陽光や風力発電設備を導入すれば、より高い評価を受けられる可能性もあります。

3.電気の需要の最適化

 3つ目の大きなポイントは、電気の需要の最適化がエネルギー管理の新たな柱として追加されたことです。これは、単に電力量を減らす省エネ対策とは異なり、「いつ、どの時間帯に、どれだけ電力を使用しているか」を分析し、需要のピークを抑えることを意味します。

 近年は猛暑や寒波による電力ひっ迫、再エネ導入拡大による電力の変動性など、電力需給のバランスが不安定になりがちです。そのため、電力の使用量だけでなく時間帯の調整や需要の分散も、エネルギー管理における重要な課題となっています。

 今回の法改正では、需要最適化に向けた取り組み状況を、中長期計画書や定期報告書で示すことが必要です。具体的には以下のような対策が推奨されています。

・デマンドコントロールシステムの導入

・昼間のピーク時電力の削減

・夜間の稼働へシフト

・蓄電池によるピークカット

 これらを通じて、企業は自社の電力使用の負荷を分散し、系統電力への影響を軽減することが期待されています。

省エネ法改正に向けて企業が取るべき対策

省エネ法改正に向けて企業が取るべき対策を紹介します。

改正内容に沿った中長期的な省エネ戦略を立てる

 まず重要なのは、改正された省エネ法の方向性を踏まえた上で、中長期的なエネルギー戦略を策定することです。従来のように、毎年の電力削減目標を設定するだけでは不十分です。今後は、全体のエネルギー構成を見直す長期計画が求められます。

 例えば、2030年までにエネルギー消費量を〇%削減する、再エネ比率を〇%まで引き上げるといった目標を明確化し、それを達成するための年次計画を立てることが効果的です。

エネルギー使用量の定期的な把握と記録体制を整える

 改正省エネ法では、エネルギーの使用実態を定期的に可視化し、記録として残すことが強く求められています。これに対応するためには、エネルギー使用量の把握体制を強化し、現場レベルから経営層までが情報を共有できる仕組みを構築することが必要です。

 具体的には、電力・ガス・燃料などのエネルギー使用データを部門別や設備単位で収集し、一元管理する方法が一般的です。また、自動計測装置やIoTセンサーの導入により、リアルタイムでエネルギー消費を可視化することで、異常値の早期発見や無駄の特定もできます。

社内ルールを再構築する

 法改正のたびに担当者が個別対応するのではなく、組織全体で省エネ・脱炭素を継続的に推進できる体制づくりが求められています。

 まず取り組むべきは、エネルギー管理体制の明確化です。エネルギー管理者や推進責任者を正式に任命し、各部署に省エネ担当を配置することで、横断的な活動が可能になります。さらに、エネルギー使用に関する社内ガイドラインを整備し、従業員への研修を定期的に実施することも効果的です。

再エネ活用の方針を策定する

 自社敷地内に太陽光パネルを設置する、再エネ電力を提供する電力会社へ切り替えるなど、再エネを導入する方法はいくつかあります。いずれの方法でも、導入コスト・回収年数・CO2削減効果を総合的に比較し、企業の規模や業種に合った導入戦略を立てることが重要です。

省エネ法改正に企業が取り組むメリット

省エネ法改正に企業が取り組むメリットについて紹介します。

エネルギーコストの削減につながる

 省エネ対策の最大のメリットは、エネルギーコストを継続的に削減できる点です。設備の高効率化や無駄な電力の削減、運用時間の見直しなどを通じて、日常的なエネルギー支出を抑えることが可能になります。

 また、エネルギーの使用状況を「見える化」することで、これまで気づかなかったムダや改善余地を特定しやすくなります。

脱炭素経営として企業イメージが向上する

 近年では、消費者・取引先・金融機関が、企業の環境対応に注目する傾向が強まっており、SDGsやESGへの取り組みが企業評価に直結しています。

 再エネの活用や電力需要の最適化、CO2排出量の削減などを進めることで、環境に配慮する姿勢を外部にアピールできます。その結果、ブランド価値の向上や、広報活動、IR資料、採用活動での活用にもつなげやすくなります。環境に配慮する姿勢がステークホルダーの共感を得るきっかけとなり、信頼関係の強化にも貢献します。

取引先や投資家からの信頼を獲得できる

 サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量に注目している企業は少なくありません。つまり、取引先が排出するCO2も評価対象になっており、省エネや再エネの取り組みをしていない企業は、今後取引の継続が難しくなる可能性があります。

 一方、省エネ法改正に基づく積極的な取り組みを行っている企業は、環境配慮型企業として高く評価され、取引先や投資家からの信頼を獲得しやすいでしょう。

今後の規制強化への先回り対応になる

 今後、国際的な気候変動対策やカーボンニュートラルの流れに伴い、さらなる法規制の強化が予想されています。そのため、今から省エネ法改正に合わせて準備を進めておくことで、スムーズに次の制度変更にも対応することが可能です。

 特に、再エネ導入やエネルギー管理体制の整備は一朝一夕には進みません。設備投資や人材育成、データ整備などには一定の時間がかかるため、早期に着手することで他社よりも一歩先を行けます。

補助金や税制優遇を受けやすくなる

 省エネや再エネ関連の取り組みには、国や自治体からさまざまな補助金や税制優遇措置が設けられています。これらの制度を活用するには、事前に省エネ計画の策定や報告体制の整備が必要です。つまり、省エネ法改正に沿った社内体制が整っていれば、補助金申請のハードルも大幅に下がります。

環境配慮を重視する人材の採用につながる

 近年、特に若年層を中心に、環境に配慮する企業で働きたいという志向が高まっています。省エネ法改正への取り組みを積極的にアピールすることで、サステナビリティや社会課題に関心を持つ優秀な人材を引きつけやすくなるのもメリットの一つです。

まとめ

 2023年・2025年と相次ぐ省エネ法改正により、企業に求められる対応は着実に高度化・多様化しています。今後は、再エネ導入の方針策定やエネルギー使用量の見える化、社内体制の強化など、より実践的な取り組みが必要不可欠です 省エネ対応を効率的に進めたい企業には、エネルギー管理クラウド「エネグラフ」の活用がおすすめです。ぜひ導入をご検討ください。

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