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2025年8月1日

効果のある工場の省エネ対策!必要性や成功させるコツを紹介

効果のある工場の省エネ対策!必要性や成功させるコツを紹介

 エネルギー価格の高騰や環境意識の高まりなどを理由に、多くの製造業界で省エネ対策の重要性が高まっています。工場は企業の中でも特にエネルギー消費量が多く、効率的な対策を講じることで大きなコスト削減と環境負荷の低減を同時に実現することが可能です。本記事では、効果のある工場の省エネ対策をご紹介します。

なぜ工場に省エネが必要なのか

 工場の省エネは、コスト削減と社会的信頼を向上させる上で欠かせない取り組みです。とくに近年では、持続可能な社会を目指す動きが加速しており、企業にも地球環境への責任が求められています。

一般的な省エネと工場の省エネの違い

 一般家庭やオフィスなどで実施される一般的な省エネは、電気の使用を控えたり、節電機器を導入したりすることが中心です。個人の意識や習慣の見直しによって比較的容易に成果を出せるため、実行までのハードルが低いのが特徴です。

 一方で工場における省エネは、より大規模かつ複雑な対応が求められます。製造機械やボイラー、空調設備など、多くのエネルギーを消費する設備が稼働しており、それぞれに最適な運用や制御を行う必要があります。加えて、製造工程全体の最適化や、エネルギー使用の可視化といった高度なマネジメントが必要です。

このように、工場の省エネは単なる節電ではなく、業務効率や生産性に直結する戦略的な取り組みになります。

工場が省エネに取り組むメリット

工場が省エネに取り組むことで、次のようなメリットが得られます。

・エネルギーコストの削減

・企業イメージの向上

・生産性と品質の安定化

・故障リスクとメンテナンス費の低減

・補助金や税制優遇の活用

 エネルギー使用の最適化は、製造現場の効率化や品質の安定につながります。また、省エネに取り組む姿勢は社外にも好印象を与え、企業としての信頼性を高めます。

 このように、省エネは経費削減だけでなく、環境対応・生産性向上・企業価値向上など、複数の面で恩恵をもたらす重要な経営戦略です。

工場におけるエネルギー消費の状況

 工場は、産業部門におけるエネルギー消費の大半を占めています。特に製造業では、24時間体制の稼働や大型設備の運用によって、電力・燃料の使用量が膨大になりがちです。工場で使われているエネルギーの内訳や消費設備を紹介します。

工場のエネルギー使用の内訳

 資源エネルギー庁の調査によれば、製造業の電力消費は生産設備が83%、一般設備(空調・照明)が17%となっています。

 エネルギー消費は時間帯によって変動し、特に午前9時から午後5時までの間に多く使われます。昼間のみの操業では午後1時ごろに消費がやや落ち着きますが、昼夜連続操業を行う工場では、この時間帯の消費が高い水準で続くのが特徴です。

工場の主要エネルギー消費設備

工場におけるエネルギー消費の大きい設備は、以下の通りです。

・モーター駆動機器(ポンプ、ファン、コンベアなど)

・コンプレッサー(空気圧縮機)

・冷却設備(冷凍機、冷却塔など)

・加熱設備(電気炉、ボイラーなど)

・空調設備

・照明設備

 モーター駆動機器やコンプレッサーは生産設備の中心であり、工場の稼働効率に直結します。冷却や加熱設備は温度管理に不可欠で、運転方法によってエネルギーの使い方に差が生まれます。空調や照明は快適な作業環境を維持するために必要ですが、省エネ対策で大きな効果が期待できる設備です。

本当に効果のある工場の省エネ対策

実際に企業が省エネに取り組み、効果が得られた省エネ対策を事例とともに紹介します。

電力の見える化で無駄を削減する

 工場の省エネ対策として最初に取り入れたいのが、電力の見える化です。エネルギーマネジメントシステム(EMS)やスマートメーターを導入すれば、設備ごとの消費量やピーク値がリアルタイムで画面に表示されます。

 いつ、どの設備が、どのくらい電力を消費しているか一目で把握できるため、原因を特定したうえで稼働パターンや待機電力を見直せます。データが蓄積されると、曜日や季節ごとの使用傾向も読み取れるため、計画保全やシフト調整に反映しやすいです。

 電力の見える化は単なる監視ではなく、改善サイクル(計測 → 分析 → 対策 → 再計測)を回す基盤です。そのため、導入初期から担当部署と経営層が同じデータを共有し、投資判断や教育に活用する体制づくりが欠かせません。

参考)エネグラフで電力を見える化

【成功事例】

アルプスアルパイン株式会社では、中央監視システムで取得した電力データを活用し、工場全体の温度設定を1℃緩和する節電アクションを実施しました。その結果、年間電力使用量を173千kWh、原油換算で44kL削減しました。

参考元:東北経済産業局

工場内の照明をLED化する

 工場の省エネ対策として効果が高く、導入しやすいのが照明のLED化です。従来の水銀灯や蛍光灯に比べて、LEDは発光効率が高く、同じ明るさでも消費電力を大幅に抑えられます。また、寿命も長いため交換頻度が少なくなり、保守コストの削減にもつながります。

 工場のように広大な面積を照らす施設では、照明にかかる電力使用量は意外に大きく、特に24時間稼働している現場では削減効果も顕著です。さらに、LEDは点灯・消灯の反応が早く、明るさを細かく調整できるため、人感センサーや昼光センサーと組み合わせることで、より無駄を省けます。

【成功事例】

株式会社岩田製作所では、工場内の照明の95%をLEDに切り替える取り組みを行いました。その結果、電気代は年間で約33万円、CO₂排出量は10.06トン、年間5.66kL(原油換算)のエネルギーを削減しました。

参考元:中部経済産業局

設備を稼働に応じて制御・停止する

 工場内の省エネを実現するうえで見落とされがちなのが、設備の不要な待機です。生産ラインが停止しているにもかかわらず、補助設備が稼働し続けているケースは多く、電力の無駄遣いにつながります。

 特に生産が行われない週末や夜間の設備運転を見直すことで、待機電力のカットが可能です。近年では、IoTやセンサー技術を活用して自動制御を行う仕組みも増えており、人手による切り替えの手間も省けます。

【成功事例】

関東地方のある工場では、生産ラインが稼働していない週末にコンプレッサを停止する対策を実施しました。その結果、年間約40,000kWhの電力削減を実現しています。

参考元:一般財団法人省エネルギーセンター

太陽光パネルを設置して自家発電する

 再生可能エネルギーを活用した省エネ対策の中でも、特に注目されているのが太陽光パネルの設置による自家発電です。工場の屋根や遊休地に太陽光パネルを設置することで、電力会社からの購入量を減らし、電気料金の削減と環境負荷の低減を同時に実現できます。

 初期費用をかけずに太陽光設備を設置したい場合は、使用した電力分だけを支払う「オンサイトPPAモデル」がおすすめです。

【成功事例】

豊桑産業株式会社は、オンサイトPPAモデルを使ってベトナム工場の屋根に太陽光パネルを設置しました。その結果、年間263トンのCO₂排出量を削減しています。

参考元:中部経済産業局

省エネ診断会の実施

 工場全体で省エネを推進するには、特定の担当部門だけでなく、現場で働くすべての従業員が当事者意識を持つことが重要です。そのための有効な手段が、省エネ診断会の実施です。

 省エネ診断会では、専門家や社内メンバーが工場の運用状況を調査・分析し、ムダなエネルギー使用の箇所を特定します。さらに、従業員自身が省エネのアイデアを提案し、現場の実情に合った改善を行うことで、省エネ効果を高めることが可能です。

【成功事例】

福島キヤノン株式会社では、インフラ管理部門だけに頼らず、全従業員を巻き込んだ省エネ診断会を実施しました。この活動によって70件以上の省エネ診断、毎年300件以上の改善提案が生まれ、約2億円のコスト削減や3年間で約2,670kL(原油換算)ものエネルギー削減を達成しました。

参考元:東北経済産業局

工場の省エネを成功させるために必要な取り組み

工場の省エネを成功させるために必要な取り組みを紹介します。

エネルギーの見える化で現状を把握する

 まずは、自社のエネルギー消費の見える化から始めましょう。見える化とは、設備ごとの電力使用量をリアルタイムで把握し、データとして確認できるようにすることです。

 これにより、どの設備がムダに稼働しているか、ピーク時間帯がいつかといった問題点を客観的に分析できます。漠然と省エネが必要と言うより、数値でエネルギーの無駄を示すことで、現場の納得感と協力も得やすいです。

省エネ目標とスケジュールを社内で共有する

 省エネを推進する際は、明確な目標と期限を定めたうえで、関係者全員と共有することが不可欠です。目標が漠然としていたり、担当者任せになっていたりすると、途中で頓挫するケースが少なくありません。「半年で5%削減する」など具体的な数値と期限を明示しましょう。

ムダな消費を減らす運用改善から着手する

設備投資を行う前に、まずは日々の運用を見直すことが効果的です。たとえば、「使っていない機器をこまめに停止する」といった小さな改善でも、積み重なれば大きな効果を生みます。

実際、こうした無償または低コストでできる運用改善から着手した企業は、初期費用を抑えつつ省エネ効果を得ています。

効果が見込める場所から設備更新を行う

 工場にはさまざまな設備が稼働しているため、すべてを一度に更新するのは現実的ではありません。そのため、まずは省エネ効果が高く、投資回収期間が短い設備から優先して更新していくのが賢明です。

まとめ

 工場の省エネを成功させるには、現状把握から運用改善、設備更新まで段階的に取り組むことが重要です。特に「エネルギーの見える化」を起点としたデータに基づく対策は、ムダの発見と効果測定の両面で大きな効果を発揮します。

 エネルギーの見える化をより簡単かつ効率的に進めたい場合は、「エネグラフ」がおすすめです。電力やガスなど複数エネルギーを一元管理でき、グラフ表示による分析やアラート通知など、現場の省エネ改善に直結する機能が揃っています。

【東京都EMS助成金】工場などのエネルギー使用量を見える化してコスト削減

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