コラム
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2025年7月3日
工場の電気代が年々高くなっていると感じている人は、多いのではないでしょうか。電力の「見える化」を導入すれば、エネルギーのムダを把握でき、節電対策として効果的です。
また、目に見えなかった電力の使用状況を数値化・可視化することで、設備ごとの消費量や稼働状況がひと目で分かるようになります。
本記事では、工場における電力の見える化の重要性やメリット、見える化する手段について紹介します。
目次
電力の見える化とは、工場やオフィスなどの施設における電力使用状況を可視化する取り組みです。
電力量や使用時間、エリアごとの消費傾向などをグラフや数値で把握できるようになることで、どこでどれだけの電力が使われているのかをひと目で確認できます。従来は電力の使用状況が不透明で、節電が感覚的になりがちでしたが、見える化によって無駄な使用箇所を特定しやすくなります。
また、リアルタイムでのモニタリングが可能なシステムも多く、状況に応じた柔軟なエネルギー管理も実現します。これにより、無駄な電力消費を抑え、効率的な節電対策やコスト削減に貢献できるのです。
電気の見える化は、工場の省エネやコスト削減を実現する上で極めて重要です。なぜなら、電力消費の実態を把握できなければ、どこにムダがあるのか、どの設備が多くの電力を使っているのかを判断できないからです。
特に工場では、生産設備や空調、照明など多様な機器が稼働しており、電気の使い方は複雑になりがちです。見える化によって具体的な消費データが得られれば、関係者全員が現状を共有し、効果的な節電対策を検討できます。
また、環境配慮が企業に求められる時代において、見える化は脱炭素経営の第一歩としても注目されています。
電力の見える化のメリット・得られる効果について紹介します。
電力使用の最適化によるコスト削減ができる
設備異常や劣化の早期発見が可能になる
従業員の省エネ意識を高められる
エネルギー管理の自動化・効率化が進む
環境への取り組みとしてESGやSDGs評価にも貢献できる
データをもとにした経営判断や戦略立案が可能になる
電力の見える化により、どの設備がいつ・どれだけ電力を使用しているのかを具体的に把握できます。これにより、無駄な稼働時間やピーク時の電力使用を抑えるといった対策が取りやすくなります。
例えば、ピークカットの実施や使用量の平準化によって電気料金を下げることが可能です。また、季節や時間帯による変動を分析することで、電力契約の見直しにもつながります。
結果的に、全体の電気料金を抑え、企業の利益率向上にも寄与します。省エネの取り組みを数値で評価できるため、継続的な改善活動のモチベーション維持にも効果的です。
電力の見える化によって、設備ごとの電力使用パターンを日常的に監視できるようになります。通常と異なる電力消費が見られた場合、機器の異常や部品の劣化といった不具合を早期発見できることもメリットの一つです。
トラブルの芽を事前に発見し、メンテナンスを計画的に行うことで、突発的な設備停止や生産ラインのダウンを未然に防ぐことが可能です。保全活動の精度が向上することで、安定した生産体制とコスト削減の両立が実現します。
電力の見える化は、従業員の省エネ意識を高めるためにも効果的です。具体的な数値やグラフで使用状況を見える化することで、「どの部署がどれだけ電気を使っているか」「どの行動がムダか」といった情報を従業員に共有できます。
その結果、自発的に消灯や機器の停止など、日常的な省エネ行動が促されます。また、定期的に省エネ目標を設定し、達成度を評価する仕組みを導入すれば、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
電力の見える化は、エネルギー管理を人からシステム主導に変える大きな転換点になります。自動計測されたデータをもとに、リアルタイムで消費状況を監視し、異常時には自動でアラートを出すことも可能です。
これにより、管理者は日々の確認作業に追われることなく、ほかの業務に集中できます。また、過去データとの比較やトレンド分析も容易になるため、長期的な視点での対策が実行しやすくなります。エネルギー管理の属人化を防ぎ、標準化・効率化を推進できる点も、見える化の大きな魅力です。
電力の見える化は、企業の環境意識や社会的責任を示す強力なツールです。エネルギー使用量を具体的に把握・管理し、削減に向けた行動を数値で証明できます。そのため、ESG投資やSDGs評価の観点でも評価は高いです。
CO₂排出量の管理や削減目標の進捗を見える化できる点は、株主や投資家へのアピールにもなります。また、環境報告書やCSR活動の資料としても活用可能で、透明性のある企業活動の証明につながります。脱炭素化やカーボンニュートラルを目指す上で、見える化は欠かせない取り組みです。
電力の見える化によって得られたデータは、経営資源としての価値も持ちます。例えば、電力消費と生産効率との関係性を分析することで、コスト対効果の高い設備投資先を見極めることが可能です。
また、省エネ施策の効果を数値で評価できるため、次なる改善策の検討にも役立ちます。生産計画や設備配置の見直しなどにも応用できるため、エネルギーデータを戦略的に活用することが可能です。
電力の見える化を実現するには、データを「収集・管理・分析」する仕組みが必要です。電力を見える化する手段として、代表的な3つの方法を紹介します。
スマートメーターとIoT機器によるリアルタイムデータ収集
エネルギーマネジメントシステム(EMS)による統合管理
電力明細をグラフ化して使用傾向を分析する
電力の見える化を実現するもっとも基本的な手段の一つが、スマートメーターとIoT機器を用いたリアルタイムのデータ収集です。スマートメーターは従来のアナログメーターとは異なり、電力使用量をデジタルで計測でき、精度の高いデータ取得が可能です。
これに加えてIoT対応のセンサーやゲートウェイを設置することで、使用中の電力をリアルタイムでクラウド上に送信できます。これにより、どの時間帯にどの設備がどれだけの電力を使っているのかを正確に把握することが可能です。
近年では、こうしたデータ収集を簡単に始められるツールも登場しております。例えば「エネグラフ」は既存のスマートメーターにエッジデバイスを後付けするだけで、電力データの見える化をすぐに開始できます。大がかりなシステム導入をしなくても、小規模からスタートできる点が魅力です。
より高度な電力管理を行いたい場合には、エネルギーマネジメントシステム(EMS)の導入が効果的です。EMSは、工場や施設内の電力データを一元的に管理・分析できるシステムで、リアルタイムに収集された情報をもとに、無駄な電力の発見や最適な運用方針の立案が可能になります。
複数の拠点やエネルギー種別(電気・ガス・水など)を横断的に管理できる点も、EMSの大きな特徴です。管理画面上で消費電力の推移や異常値のアラートを確認できるため、現場の管理者や経営層も意思決定がしやすくなります。
日々の電力使用状況を深く分析するには、収集したデータを視覚的に表示し、傾向を読み取ることが重要です。その一環として、電力会社から提供される使用明細をグラフ化する手法があります。
時間帯ごとの消費電力の推移や、月ごとの変化を可視化することで、ピークタイムや非効率な使用時間帯を見つけ出しやすくなります。こうしたグラフ化は、過去のデータと比較することで異常を早期に発見できるほか、省エネ対策の効果検証にも活用可能です。
電力の見える化の注意点について紹介します。
初期導入コストがかかる
データの取り扱いや活用が難しい
電力の見える化を行うには、計測機器やIoTデバイス、管理ソフトウェアなどの導入が必要です。そのため、初期費用がある程度発生します。特に工場や大型施設など広い範囲にわたって電力使用状況を把握する場合、センサーの設置や通信環境の整備に多くの費用がかかる可能性があります。
しかし、長期的に見ると、省エネによる電気代削減や設備の延命など、費用対効果の面で十分なメリットを得られます。
電力を見える化しても、そのデータを適切に分析・活用できなければ、省エネや効率化にはつながりません。電力データは時系列・設備別など多様な視点で見る必要があり、Excelなどの手作業では限界がある場合もあります。
また、現場スタッフにとってはデータ活用が業務負担になってしまい、かえって運用が滞ることも少なくありません。そのため、必要に応じて外部ツールやサポートサービスを活用することが有効です。
工場や事業所における電力の見える化は、省エネやコスト削減、設備管理の効率化に大きく貢献します。リアルタイムで電力の使用状況を把握できることで、無駄な使用を抑えたり、異常や劣化を早期に発見したりと多くのメリットが得られます。
電力の見える化に取り組む際には、分かりやすく、現場でもすぐに活用できるサービスを選ぶことが成功のカギです。エネグラフは、初めての導入でも扱いやすく、リアルタイムで電力使用をグラフ化できるため、省エネの第一歩として最適です。 電気代を節約したい、異常を早期発見したいなどのお悩みがある人は、ぜひご相談ください。
太平洋工業(株)新規事業推進部 営業企画グループ
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