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2026年10月1日

【2026年版】出力抑制とは?太陽光発電への影響と対策、見通しについて解説

出力抑制とは?太陽光発電への影響と対策、見通しについて解説

再生可能エネルギーの普及に伴い、太陽光発電を中心に「出力抑制」という制度が注目されています。出力抑制とは、電力の供給過多や系統の安定性を保つために、発電量を制限する仕組みです。

特に工場や大規模施設で太陽光発電を導入している場合、売電収益や自家消費の効率に影響が出る可能性があります。本記事では、出力抑制の仕組みや太陽光発電への影響、見通しについて詳しく解説します。

出力抑制(出力制御)とは?

出力抑制(出力制御)とは、再生可能エネルギーで発電した電力を一時的に制限する仕組みです。電力の供給量が需要を上回る場合や、送電線などの容量を超えるおそれがある場合に実施されます。

太陽光発電を導入している事業者にとっては、出力抑制によって売電できる電力量が減ったり、自家消費できる電力量が少なくなったりする可能性があります。そのため、制度の仕組みや実施される条件を理解し、発電設備や電力使用量を適切に管理することが重要です。

具体的な仕組みや必要性について詳しく見ていきましょう。

出力抑制の基本的な仕組み

出力抑制が必要になる主な要因には、「需給バランス制約」と「送電容量制約」の2つがあります。需給バランス制約は、電力の供給量が需要を上回る場合に、エリア全体の発電量を調整するものです。一方、送電容量制約は、送電線や変圧器で送れる電力の上限を超えるおそれがある場合に、系統の混雑を防ぐため発電量を抑える仕組みです。

一般送配電事業者から出力を減らすよう指示を受けると、太陽光発電や風力発電などの発電事業者は、一定時間にわたって発電量を抑えます。

このように、出力抑制は電力の需要が少ない場合だけでなく、送電設備の容量に制約がある場合にも実施されます。再生可能エネルギーの導入量が増えるなか、電力系統を安定して運用するために必要な仕組みです。

出力抑制はなぜ必要なのか

出力抑制が必要とされる理由は、電力の需給バランスを保つためです。電気は大量に貯めておくことが難しいため、発電量と消費量を常に一致させる必要があります。発電量が需要を大きく上回ると周波数が乱れ、停電や設備障害につながるおそれがあります。

特に春や秋は、冷暖房の稼働が減って電力需要が下がる一方、晴天時には太陽光発電の出力が高まりやすいため、供給過剰が起こりやすい時期です。太陽光発電を導入している工場では、生産設備の稼働時間や蓄電池への充電時間を調整するなど、出力抑制が発生しやすい時間帯を意識した運用が重要です。

また、日本の送電網には地域ごとに送電できる容量の上限があります。需要が少ない地域で発電量が急増しても、余った電力をほかのエリアへ十分に送れない場合があります。こうした需給バランスと送電容量の両面から、電力系統の安定を保つために出力抑制が必要です。

出力抑制の優先給電ルール

出力抑制を行う際には、どの発電量から出力を減らすかが決まっており、これを「優先給電ルール」と呼びます。

まず、火力発電の出力を抑えたり、揚水発電で余剰電力を一時的に吸収したり、ほかのエリアへの送電を活用して需給バランスを調整します。

それでもなお過剰な電力が残る場合には、再生可能エネルギーの抑制が必要です。バイオマス発電の制御を行い、その後に太陽光や風力などの出力を抑制します。この順序は、各発電のコストや技術的な特性に基づいて決められています。

水力・原子力・地熱といった長期固定電源は、短時間での出力調整が難しく、一度抑制するとすぐに元の出力に戻せません。そのため、制御の最後に回されます。

出力抑制が太陽光発電に与える影響

出力抑制が実施されると、太陽光発電の出力が一時的に下がるため、売電できる電力量が減少します。FIT(固定価格買取制度)を利用している事業者では、抑制された分の電力を売電できず、想定していた売電収入を得られない可能性があります。出力抑制の発生頻度が高い地域では、年間の売電量や収益への影響も大きくなりやすいため注意が必要です。

また、工場などで太陽光発電を自家消費している場合、発電量が減ることで不足分を電力会社から購入する必要が生じ、電力コストが増えることもあります。特に、昼間の太陽光発電を前提として生産設備を稼働させている事業所では、想定より買電量が増える可能性があります。

そのため、太陽光発電を新たに導入する際は、年間発電量だけで収益性を判断するのではなく、地域の出力抑制率や過去の実績も確認することが重要です。出力抑制による発電量の減少を一定程度見込んだうえで、売電収入や電力削減額を試算しておけば、実際の運用とのズレを抑えやすくなります。

現在は、新ルールや無制限無補償ルールの対象となる太陽光発電設備では、遠隔で出力を調整できる出力制御機能付パワーコンディショナなどの出力制御機器の設置が必要です。オンライン制御に対応していれば、当日の需給状況や気象予測に合わせて細かく出力を調整できるため、前日に一律で停止するオフライン制御より柔軟な運用が可能です。

オンライン対応の発電所では、実際の需給状況に合わせて必要な時間帯・出力だけを抑えやすく、不要な出力抑制を減らせるメリットがあります。

【2026年度】出力抑制の見通しと過去の実績

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、出力抑制の状況は年々変化しています。特に太陽光発電の普及が進む地域では、需要に対して発電量が過剰になる時間帯が増えており、今後の制御の実施頻度や影響を予測することが重要です。

2026年度の再エネ出力抑制の見通し

2021年度までは、需給バランス制約による再エネの出力制御は九州エリアのみで実施されていましたが、その後は対象地域が広がり、2026年の春には東京エリアでも初めて実施されたことで、現在では全国すべてのエリアで出力制御の実施実績があります。再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、出力抑制は一部地域だけの課題ではなくなっているのです。

2026年度の見通しでは、九州エリアの出力制御率が6.9%と最も高く、東北4.0%、四国2.9%、北陸2.7%、中国1.8%、北海道1.2%となっています。一方、東京は0.03%、中部0.2%、関西・沖縄は0.1%と低い見通しです。九州エリアだけでも、制御電力量は12.2億kWhに達すると予測されています。

出力抑制率とは、発電できたはずの電力量のうち、実際に抑制された電力量が占める割合です。例えば、本来1,000kWh発電できる見込みだったものの、100kWh分の出力が抑制された場合、出力抑制率は「100÷1,000×100=10%」となります。

出力抑制率が高いほど売電できる電力量が減るため、発電事業者の収益にも影響します。太陽光発電を導入している工場や事業所では、自社が属するエリアの見通しを定期的に確認し、出力抑制を想定した運用計画を立てることが重要です。

参考元:経済産業省|再生可能エネルギー出力制御の長期見通し等について

【エリア別】出力抑制の実施実績

各電力会社の出力抑制率の実施実績を紹介します。

2022年度2023年度2024年度2025年度
北海道0.04%0.01%0.04%0.25%
東北0.5%0.8%1.3%3.1%
東京ーーー0.09%
中部ー0.2%0.3%0.3%
北陸ー0.6%0.9%0.1%
関西ー0.1%2.1%1.1%
中国0.5%3.6%2.3%1.4%
四国0.4%1.8%3.2%3.1%
九州3.0%8.3%4.8%5.8%
沖縄0.08%0.27%0.15%0.17%

参考元:経済産業省|再生可能エネルギー出力制御の長期見通し等について

出力抑制の実施状況は、エリアによって大きく異なります。2025年度は九州の出力制御率が5.8%と最も高く、東北と四国が3.1%で続きました。一方、北海道や東京、中部、北陸、沖縄では1%未満にとどまっており、地域差が大きいことが分かります。

また、同じエリアでも年度によって出力制御率は変動します。再生可能エネルギーの導入量だけでなく、電力需要や天候、火力・原子力の稼働状況、地域間連系線の活用状況なども影響するためです。太陽光発電を導入している事業者は、過去の実績だけでなく、最新の見通しもあわせて確認することが重要です。

出力抑制の対象を決める3つのルール

出力制御には、「旧ルール(30日ルール)」「新ルール(360時間ルール)」「無制限無補償ルール(指定ルール)」の3つがあります。現在、太陽光発電の新規接続案件には、原則として無制限無補償ルールが適用されます。

3つのルールの特徴や違いについて詳しく見ていきましょう。

旧ルール(30日ルール)

旧ルールは、FIT制度の初期に設けられ、年間30日を上限に無補償での出力抑制に従うことが義務付けられていました。抑制が上限に達した場合は補償対象となるため、発電事業者にとって収益の見通しを立てやすいルールです。

一方、旧ルールは日数単位で管理されるため、短時間の出力抑制でも1日として扱われることが課題でした。例えば、1日のうちわずか1時間だけ出力を抑制した場合でも1日分としてカウントされるため、実際の抑制時間が短くても年間30日の上限に達しやすくなります。こうした非効率性を改善するため、その後は時間単位で管理する新ルールが導入されたのです。

当初は2015年1月25日以前に接続申し込みをした500kW以上の太陽光発電設備が主な対象でしたが、2022年4月以降は、これまで対象外だった旧ルールの10kW以上500kW未満の設備にも出力制御の対象が拡大されています。

新ルール(360時間ルール)

新ルールは、年間の出力抑制時間を360時間までに制限するルールです。このルールの特徴は、年間の制御時間が時間単位で管理されることです。出力抑制の対象は、出力10kW以上の太陽光発電で、360時間を超過した分に対しては補償されます。

無制限無補償ルール(指定ルール)

無制限無補償ルールは、出力抑制の時間に上限がなく、抑制に対する補償も行われないルールです。もともとは特定のエリアで適用されていましたが、2021年4月以降は全国で適用される仕組みとなりました。

現在はFIT電源だけでなく、FIP電源や非FIT・非FIP電源にも無制限無補償ルールが適用されます。FIP電源については、FIT電源とは出力制御の順番を分けて扱う運用も進められています。

また、FIP制度では、出力制御が発生する時間帯のプレミアムは交付されません。その分は、同じ月の出力制御が発生していない時間帯へ割り付ける仕組みです。これにより、発電事業者が供給時間を需要の高い時間帯へ移すインセンティブを持ちやすくなっています。

電力エリアによってルールが異なる

出力抑制の適用ルールは、地域ごとの発電量や需給バランスの状況に応じて、旧ルール・新ルール・無制限無補償ルールのどれが適用されるかが決まります。例えば、北海道電力、東北電力、九州電力においては、新ルールは適用されません。発電事業者は、接続予定の電力エリアのルールを確認した上で事業計画を立てる必要があります。各エリアの詳しい情報については、以下を参考にしてください。

参考元:

北海道電力

東北電力

東京電力

中部電力

北陸電力

関西電力

中国電力

四国電力

九州電力

沖縄電力

出力抑制量を低減させる対策

出力抑制による影響を抑えるためには、発電した電力をできるだけ自社で有効活用し、系統へ流れる余剰電力を減らすことが重要です。蓄電池への充電や自家消費の拡大に加え、電力需要を意図的に増やす上げDRなど、需要側から対策する方法もあります。

対策方法によって必要な設備や費用、適している発電所は異なります。自社の発電量や電力使用状況、適用される出力制御ルールなどを確認したうえで、取り入れやすい方法から検討しましょう。

蓄電池を活用して発電量をコントロールする

蓄電池を導入することで、太陽光発電の発電量を効率的にコントロールすることが可能です。出力抑制が必要な時間帯でも余剰電力を蓄電池にためられるので、出力抑制の頻度や量を減らせます。蓄電した電力は、需要が高まる時間帯に自家消費や売電に利用できるのがメリットです。

近年は蓄電池の性能向上とコスト低下が進んでおり、小規模設備でも導入しやすくなっています。設置費用が気になる場合でも、補助金などを活用できる場合があるので、事前に確認しましょう。

関連記事:【2025年最新】中小企業に役立つ省エネ補助金をエリア・設備別に紹介

自家消費を増やして余剰電力を減らす

太陽光発電の余剰電力を減らすためには、自家消費を積極的に増やすことが効果的です。発電した電力を施設内の照明や空調、電気機器などで消費すれば、送電網に余剰電力を流す必要が少なくなり、出力抑制の対象となるリスクを下げられます。特に、昼間に電力需要が高い工場や事業所では、発電と消費をうまく組み合わせることで抑制を回避しやすくなります。

デマンドレスポンス(上げDR)を活用する

出力抑制への対策として、デマンドレスポンス(DR)を活用する方法があります。なかでも上げDRは、電力の供給が需要を上回る時間帯に、需要側が意図的に電力消費を増やして余剰電力を吸収する取り組みです。

工場では、生産設備の稼働時間を前倒ししたり、蓄電池への充電を供給過剰が見込まれる時間帯に行ったりする方法があります。太陽光発電の出力が高まる昼間に電力需要を移すことで、自家消費を増やし、系統へ流れる余剰電力を減らせます。

上げDRを効果的に実施するには、発電量だけでなく工場内の電力使用状況を把握することが重要です。エネグラフで電力使用量をリアルタイムに見える化すれば、設備を稼働させる時間帯や蓄電池へ充電するタイミングを検討する際の判断材料として活用できます。

オンライン代理抑制を推進させる

オンライン代理抑制は、正式には「オンライン代理制御」と呼ばれます。オンライン制御ができない旧ルール対象の発電所に代わり、オンライン制御に対応した発電所が追加で出力を抑制し、その後、発電したものとみなして経済的な精算を行う仕組みです。太陽光発電では2022年4月から導入が始まり、九州エリアでは同年12月から運用されています。

オンライン制御は、前日に一律で抑制量を決めるオフライン制御と異なり、当日の需給状況を見ながら実需給に近いタイミングで調整できます。そのため、前日時点では抑制が必要と判断されても、当日に需要が増えたり発電量が下振れしたりした場合には、不要な抑制を減らしやすいことがメリットです。

資源エネルギー庁の試算では、九州エリアでオンライン代理制御を導入した場合、再エネの出力制御量を約2割低減できるとされています。2019年4月の実績を基にした試算では、低減効果は17%でした。

参考元:経済産業省|再エネ出力制御の低減に向けた取組について

リアルタイムデータで抑制リスクを最小化する

出力抑制の影響を抑えるには、発電量や電力使用量をリアルタイムで把握することが重要です。太陽光発電は天候や時間帯によって出力が変動するため、電力の使用状況を継続的に確認することで、自家消費や蓄電池への充電、上げDRを実施するタイミングを判断しやすくなります。

また、ノンファーム型接続では、系統が混雑した際に出力抑制を受けることを前提として接続します。そのため、発電量と消費量の変化を把握し、状況に応じて運用を調整する重要性がさらに高まるでしょう。

エネグラフは、CTクランプやスマートメーターにエッジデバイスを設置することで、施設ごとのエネルギー使用量をリアルタイムに見える化できます。電力使用の傾向を確認しながら、生産設備の稼働時間や蓄電池の充電タイミングを調整する際の判断材料として活用できます。

FIT制度からFIP制度に切り替える

太陽光発電の運用方法を見直す手段のひとつが、FIT制度からFIP制度への切り替えです。FIT制度では固定価格で電力を買い取ってもらうのに対し、FIP制度では市場価格に一定のプレミアムを上乗せして収入を得ます。そのため、市場価格を意識しながら発電や売電のタイミングを調整しやすいことが特徴です。

FIP制度では、出力制御が発生して市場価格が0.01円/kWhとなる時間帯にはプレミアムが交付されません。その時間帯で減少したプレミアム分は、同じ月の出力制御が発生していない時間帯に割り付けられます。これにより、出力制御が発生しやすい時間帯を避けて、蓄電池などを活用しながら需要の高い時間帯へ供給を移す動機が生まれます。

したがって、FITからFIPへ切り替えるだけで出力抑制そのものを回避できるわけではありません。蓄電池や自家消費と組み合わせながら、発電した電力を市場価値の高い時間帯に活用することで、出力抑制による収益への影響を抑えやすくなります。

ノンファーム型接続で系統制約を緩和する

ノンファーム型接続とは、送電線に空き容量がない場合でも、系統が混雑した際に出力制御を受け入れることを条件として、新たな発電設備の接続を認める仕組みです。従来のように接続前に大規模な系統増強をする必要がないため、工事費や接続までの期間を抑えやすいことがメリットです。

2021年1月には全国の空き容量がない基幹系統で導入され、2023年4月からは基幹系統より電圧の低いローカル系統にも適用が拡大されました。これにより、系統増強に高額な費用がかかる地域でも、太陽光発電などを導入する選択肢が広がっています。

一方、ノンファーム型接続は系統混雑時の出力抑制が前提です。そのため、発電量や施設内の電力使用状況をリアルタイムで把握し、必要に応じて自家消費や蓄電池への充電、設備の稼働時間を調整することが重要です。

エネグラフを活用すれば、施設ごとの電力使用量をリアルタイムに見える化できるため、出力抑制を想定した運用計画を立てる際の判断材料として活用できます。

九州電力エリアなら太陽光発電所の売却も検討する

九州電力エリアは太陽光発電の導入量が多く、出力抑制の発生頻度や抑制率が全国でも高い水準にあります。そのため、発電事業者にとって収益が不安定になりやすく、事業継続の判断に影響を与えるケースも少なくありません。こうした状況では、発電所を保有し続けるのではなく、売却によってリスクを回避する選択肢も考えられます。

特に中小規模の発電事業者は、抑制による収益低下が経営に直結しやすいため、売却という判断が現実的なケースもあります。一方で、大規模な企業や複数の発電所を保有する事業者にとっては、売却は現実的な選択肢になりにくく、より運用効率の改善や蓄電池・自家消費などの対策に重点を置くことが大切です。

まとめ

出力抑制は、再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、発電事業者の収益や設備運用に影響を与える重要な課題です。2050年カーボンニュートラルの実現に向けて太陽光発電のさらなる普及が求められるなか、導入拡大と出力抑制量の低減を両立させることが欠かせません。

対策としては、蓄電池や自家消費の活用に加え、デマンドレスポンスやノンファーム型接続などの制度・手法も広がっています。発電量や電力使用量を把握し、状況に応じて設備の稼働や蓄電池への充電を調整することも重要です。

エネグラフを活用すれば、安価なエッジデバイスを設置するだけで施設ごとのエネルギー使用量をリアルタイムに見える化できます。出力抑制リスクの把握や自家消費、上げDRなどの運用判断にも活用できるため、太陽光発電をより計画的に運用したい企業は導入を検討してみてください。

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